Widget Workshop

教育サイエンスゲーム。

 当時シムシリーズで既に有名になっていたMaxisによる子供向けソフトウェアのラインナップの一つがこの作品です。よく似たコンセプトと誤解されがちなThe Incredible Machineのようなマウストラップぽい作品とは180度違って、ゲームは教育的であるべきというウィル・ライトの哲学を反映してか(と思いきや、開発はElliott Portwood ProductionsであってMaxisではない)死ぬほど真面目な作りで、その乾いたテイストはMaxisのシムアースやシムライフを凌ぐほどです。

 パズルでのプレイヤーの主な仕事はパーツを置くことではなく、パーツ同士を接続したり計算機に数字を入れたりが殆どで、ほかのパズルにしても算数を解いたりカーソルをひたすら動かすといったさっぱりゲーム性のないものが多く含まれています。このあたりは完全におもちゃという感じで、パズルを解いていて面白いという印象はありません。

 一方自分でガジェットを作る分には結構色々できます。ただ例えばグラフボードのパーツがあって、sin発生器やなんかと組み合わせることによってサインカーブを描いたりできるのですが、もう少し対象年齢が上ならこれだってもっと本格的なものにできたのでは……と悲しくなることも。確かに教育用には良いのかもしれませんね。

 このゲーム、当然のごとく論理ゲート(と言っても4種類のみ)が出てくるのですが、ほかに論理ゲートの出てくる作品と言えばインサイダーズあたりが思い浮かぶ限界ですな。こんな風変わりなソフトもあるということで、ソフトシンセ好きの知り合いに見せたらほんの少しだけ喜ばれました。

 本作品のメーカーロゴには「FOR KIDS」の表示がありますが、これはMaxisが本当に教育作品に注力していた時代の名残なのかもしれません。その「真面目さの」頂点はガイア理論のラブロック自身が前書きを書いたばかりか、開発に参加してしまったシムアース(参考インタビュー。ちなみに気象を扱ったゲームを作りたかったが、3Dで実現できそうもなかったようなことも書いてある。今思うとシムアースを3Dで作るのは不可能に近いかもしれない。もっとも、バランスオブプラネットのように割り切るという手はあるが……)なのでしょうが、その妥協のない作品群には今でも目を見張るものがあると、個人的には思っています。

 なお、このWidget Workshopを開発したElliott Portwood Productions(Studios?)も教育作品を制作していたデベロッパーで、ブローダーバンドの「カルメン・サンディエゴ」のゲームシリーズも同EPPによる制作と聞いたことがありますが、プレイしたことがないのでわかりません。

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