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World of Goo
所謂ばね物理系? パズルゲーム。
つい先日10月13日に出た新作の上、インディーズデベロッパー(その名も2D Boy)のゲームということもあり知名度は低いですが、すでに一部のプレイヤーの間では評判になっていたので気になっていました。で、想像以上にとんでもないゲームです。
マーケティングまで含めて総勢4名で作られた超インディーズな作品ではありますが、ここ数年のビデオゲームの中でも稀に見るちょっと異常な面白さとパワーがあるのでは……。
この作品はスライムをメッシュ状に次々と繋げていって、最終的には規定数をゴールのパイプまで運ぶというアクション要素を含んだパズルゲームです。ゲームに詳しい方には、The Incredible Machineとか(ゲームではありませんが)Phunのようなマウストラップ系と表現すれば伝わりやすいでしょうか。
こう書くと全然新しくないようにも思えますが、実際は斬新すぎて文章で説明しきるのは相当難しいので、興味があればトレイラーをご覧になられると良いでしょう。なんと言ってもステージのバリエーションの豊富さが目につきます。最初のチャプターだけでもコンベア、歯車、タンブラー、シリンダー、水面に浮かんでいる状態から始まるステージ、風船で持ち上がるゲート、巨大なクリーチャーなど、一つとして同じ地形は出てこないと言っても過言ではないくらい想像力が豊かな作りで、その上ピースとなるスライムにも粘着力の高いタイプや水滴タイプなど様々なバリエーションがあります。
各ステージには基本となるクリア条件の他にOCDという上級クリア条件がついていて、細かいスコアも記録されるので、繰り返しプレイして楽しめるのも良いところですね(結構ゲーマー向けな作品なのですが、一見するとなんだかカジュアルゲームみたく見えるので損しているかもしれません)。
もちろん完成度には多少差があるのですが、唯一ネタ切れ気味で退屈なチャプター2の後半を除けば、どれも個性的でチャレンジし甲斐のあるステージデザインと言っても差し支えない出来だと思います。
そして何よりもゲーム性が新鮮です。このゲームではアクションの占める比重がかなり大きく、例えば一度組んだ塔が崩れかけても素早く重心を移せば復活できる可能性がありますし、ステージによっては定期的に風船をつけかえることによってスライムの「箱」を回転させたり、少ないパーツで広い足場を支えたりすることができるので、静的なパズルにとどまらず大変に興味深いものになっているのではないでしょうか。
また難しいステージでは「フラッシュバック」(いわゆるUndo)が使えるので、あまりストレスも溜まりません。ゲームの性質上完全に再現されるわけではないので、戻した瞬間に崩れることもありますが……。無駄に荘厳でシュールな世界観とサウンドトラックが面白いものの、ちょっと「ペニーアーケード」系でアクが強いので人を選ぶかもしれません。またゲーム中に多数ある看板にはプレイのヒントやストーリーラインの断片が書いてあるのですが、ギークなジョークが多いので、いまひとつ理解できない方もいらっしゃるのでは……。
この作品はもともとExperimental Gameplay Projectで人気のあった「Tower of Goo」というゲームをベースにしているようです。
Experimental Gameplay Projectは、くだけて言ってしまうと
という3つの条件を満たした作品のプロジェクトなんだそう。Tower of Gooは「スライムをポリゴンメッシュ状に繋げて、とにかく崩れないようにより高い塔を建設する」というほかの多くのExperimental Gameplay Project作品同様シンプルなもので、面白くはあるのですが、まさか製品化されるだなんて思っていた方はあまりいらっしゃらなかったことでしょう。
- 制作期間は7日間以内で、
- 1名により作られたゲームであり、
- 重力、植物、大群といった一般的なテーマを用いたゲームであること
実はWorld of Gooにもひたすら塔を建設するモードがあって、世界中のプレイヤーの記録がリアルタイムに表示され、その実際の標高に国旗と名前が雲として出てくるのがなかなか面白いです。世界記録はリアルタイムに更新されるので、建設画面に入った時はMAX800メートルだと思いきや、いつの間にか世界記録が140メートルにまで落ち込んでいることも……。(訂正:思いっきり桁間違ってました。80000メートルじゃなくて800です)。